ライフサイクル管理

ライフサイクル管理とは、材料、製品、インフラについて、調達・製造・使用・廃棄・リサイクルまでを含む、完全な製品サイクルを通して環境という観点から最適な管理方法を説明するものです。

ニッケルのような金属では初期製造に関わる環境影響を時の経過とともに償却することが可能です。これは、一製品サイクル(例:ニッケル電池やニッケル含有ステンレス鋼)の終わりにニッケルがどれくらいの頻度で回収され、別用途に再利用されるかによります。従って、ニッケルの完全な「ライフサイクル」は、ニッケルが組み込まれた製品のライフサイクルとは一致せず、一般にずっと長くなります。

ニッケルのライフサイクル管理は、一次生産(採掘、加工、精錬)、一次使用(例:ステンレス鋼、合金、メッキ)、最終使用(例:輸送、工学技術、建設、エレクトロニクス、管状製品、金属品)、さらには耐用年数を迎えたニッケル含有製品の最終管理(すなわち、再利用のためにニッケルを回収、リサイクルすること)にまで及びます。

ライフサイクル管理はいくつかの個別の活動に分類されます。これらのステップの多くには、ライフサイクルアセスメント(LCA)に関する標準を含み、ISO14000シリーズによって確立されている方法です。

有効なライフサイクル管理に適用すべき原則

ニッケル協会では、ライフサイクル管理に適用すべき一連の原則を推奨しています。


  • 完全なライフサイクルという概念:製品は、含有する原料が初めて採掘された時から、使用を経て、リサイクルされるまでのライフサイクル全体を通して評価されるべきです。ライフサイクルの一部(例:製造からの環境フットプリント)のみに基づく結論は、誤解を招く恐れがあります。というのも、使用とリサイクルによる環境への恩恵が実際には製造時のフットプリントを上回る可能性もあるからです。
  • 合意されている概念と方法:ニッケル業界は規制当局、学術研究機関、規格化機関と連携して金属のライフサイクルの適切な評価に関する概念と方法を開発しています。現在、利用可能で適用されている方法の中には、金属の特性やライフサイクルを適切に勘案していないものが多々存在するのが実情です。ニッケルのような金属については、完全なライフサイクルを勘案した上で評価される必要があるということを示す、ガイダンスが提供されています。
  • 高品質なデータの活用:ライフサイクル・アセスメントは、原料生産、マテリアルフロー、リサイクル効率に関するライフサイクルデータなど、適切なデータに基づいていない限り、正当な結論を導き出せません。ニッケル協会では、ライフサイクルの様々な部分に関する、高品質で専門家らによる査読を経た情報を提供しています。第三者がこのデータを活用して、信頼性の高い健全な結論を導き出すことも可能です。

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