低膨張合金・磁性合金・形状記憶合金

ニッケル合金の中には特殊な物理的特性を理由に選ばれるものがあります。36%ニッケル鉄合金は室温での熱膨張率がほとんどゼロという特殊な性質を持っています。最初の用途は高精度時計の振子でした。現在、最大の用途は液化天然ガス(LNG)のタンクです。同じグループに属する他の合金は、集積回路を封入するプラスチックの膨張に合わせて膨張率を適合させることができます。

  • 低温設備用の36%ニッケル鉄合金(ニッケル協会技術文献410)
  • ディスプレイをハッキリと(ニッケル誌:2006年5月)
  • マイナス162℃での安全な貯蔵(ニッケル誌:2006年12月)
  • 軽い飛行(ニッケル誌:2008年3月)
  • 巨大なQ-Max輸送船(ニッケル誌:2009年7月)

ニッケル鉄合金は非常に高い透磁性を持つため、電子機器を電磁干渉から遮蔽する用途に適しています。アルミニウム・ニッケル・コバルト・鉄を主成分とする永久磁石はかつては広く用いられていましたが、多くの用途でフェライト磁石や希土類磁石に取って代わられています。

  • 遮蔽科学(ニッケル誌:2005年11月)

55%ニッケル・チタン合金は形状記憶特性を持っています。つまりある温度で成形すると、それより低い温度で変形しても加熱すれば元の形状に戻ります。こうした遷移温度は組成を細かく制御することで調整できます。医療器具や特殊コネクタはその用途の一例に過ぎません。同じ合金の中で、大きく弾性変形させても元の形状に戻るものを超弾性合金と呼びます。この超弾性合金はメガネのフレームや、歴史的な石造建築物の耐震を行う緩衝装置に活用されています。特性について詳しくはメーカーの文書をご参照ください。

  • 橋に用いる形状記憶合金<(ニッケル誌:2009年12月)
このページのトップへ