ニッケルブログ

知って安心:ニッケルを取り扱う作業者の保護に向けたガイドの更新

2023年7月5日

ニッケル協会の『職場におけるニッケルの安全性と健康管理 第4版』が公開されました。今回の改訂は、この幅広い用途で重要な資源元素であるニッケルを使用する企業が、最新の健康・環境上の知識を常に把握しておけるようにするものです。

ニッケルは、環境に優しい循環型経済に向けた世界的な動きにおいて重要な役割を果たしています。資源元素として、電気自動車の電池、医療用インプラント、ステンレス製各種装置など、さまざまな用途で活用されているのです。

ニッケルが環境と人の健康に及ぼす影響については、1世紀以上にわたり研究されてきました。ニッケルの健康・環境影響に関しては、数十年前と比べればより多くのことがわかってきています。

今や有害性を適切に理解し、製造中、使用中のニッケルへ暴露によるリスクを予測することが可能となりました。この知識がニッケル暴露に関する各種の管轄区、国際規制と組み合わせることで、ニッケル暴露関連の毒物学的影響に対する労働者と消費者の保護が強化されることになったのです。

ニッケルは、環境に優しい循環型経済に向けた世界的な動きにおいて重要な役割を果たしています

製造・使用中のニッケルへの暴露によるリスクと有害性に対する適切な理解が、ニッケル暴露に関する各種管轄区、国際規制と組み合わせることで、ニッケル暴露関連の毒物学的影響に対する労働者と消費者の保護が強化されることになったのです。

“ガイド”とは?更新された理由は?

ニッケル化合物には分類上危険有害性があることから、労働者の健康リスクを確実に排除すべく、職場で正しく取り扱い、使用することが肝要です。ニッケル協会では、1993年から『職場におけるニッケルの安全性と健康管理』 ガイドを提供してきました。これは、ニッケルを取り扱う仕事に関連する暴露と有害性に関する情報の概要です。ニッケル協会のウェブサイトから無料で入手でき、企業がニッケルの生産と使用に携わる作業者を保護する上で役立ちます。このガイドは、作業者の保護とニッケル材料の安全な取り扱いの促進を目的として、職場におけるニッケル暴露と健康リスクの双方を評価するための情報源です。長年にわたり、ニッケルの暴露、毒性、分類、リスク評価に関する新情報が入手可能になった際に、定期的に更新されてきた『職場におけるニッケルの安全性と健康管理』 ガイドですが、このたび、更新された第4版が公開されました。

このガイドは、作業者の保護とニッケル材料の安全な取り扱いの促進を目的として、職場におけるニッケル暴露と健康リスクの双方を評価するための情報源です。

モジュールアプローチ

本ガイドを第4版に更新するにあたっては、モジュールアプローチを採用しました。このアプローチは、各モジュールに関する新情報が入手可能になった際に、2つのモジュールを個別に更新できるようにするものです。2021年に更新されたモジュール1では、ニッケル物質の毒物学と危険有害性分類が網羅されています

このモジュールでは、さまざまな産業におけるニッケル物質の生産と使用において、暴露が発生すると体内のニッケルに何が起きるのか(薬物動態)、ニッケルへの曝露に関連する急性および慢性の健康影響、そして、最後になりましたが極めて重要なニッケルの各種危険有害性分類が説明されています。更新版モジュール1は、ニッケル協会のウェブサイトから入手可能です。

本ガイドのモジュール2は、2022年に更新される予定です。ニッケル物質への労働者の暴露や健康評価など、職場に関連する懸念事項がさらに網羅されることになります。

職場におけるニッケルの安全性と健康管理 モジュール1:ニッケル物質の毒物学と危険有害性分類

ガイド更新版モジュール1における新情報

『職場におけるニッケルの安全性と健康管理 第3版』が2008年に発行されて以来、ニッケル物質の毒性に関する新しい研究結果が利用可能になりました。硫酸ニッケルやニッケルメタルを用いた経口がん、経気がんそれぞれへのバイオアッセイ(物質の細胞への影響度の測定)といった新たな慢性研究、また、さまざまなニッケル物質を用いた機構の研究が発表されています。

2018年、欧州化学機関(ECHA)のリスク評価委員会(RAC)は、職場におけるニッケルとニッケル化合物の職業暴露限界値について見解を述べました。RACの結論によると、ニッケル化合物には間接的な変異原性があり、間接的なメカニズムを通して遺伝子毒性を誘発し、発がん性に対するしきい値作用機序があるとのことです。また、2011年には、欧州委員会の職業暴露限界に関する科学委員会(SCOEL)も、ニッケル化合物は実用的なしきい値を有する発がん性物質であると結論づけています。

本ガイドは、ニッケルの生産者と利用者にとって有益な情報源となり、職場における数多くの有益な用途で安全な利用を可能にするものです。

『職場におけるニッケルの安全性と健康管理 モジュール1:ニッケル物質の毒物学と危険有害性分類』をぜひダウンロードしてください。

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