ニッケルブログ

もはや電気自動車の脇役ではなくなった電気トラックとバス

2021年12月7日

乗用車の電動化がトレンドとなっている地域は世界中に多々あり、消費者主導の現象になりつつありますが、ここで忘れてはならないのがトラックやバスといった大型車なのです。

国際エネルギー機関によると、輸送はエネルギーからのCO 2排出量の27%を占めています。輸送部門では、排出量の45%が自動車、オートバイ、タクシー、バスなどの乗用車や旅客車、30%がトラックや大型トラックなどの貨物車と75%近くが道路輸送によるもので、残りの25%は海運、航空、鉄道などの他セクターが占めています。乗用車の電動化がトレンドとなっている地域は世界中に多々あり、消費者主導の現象になりつつありますが、ここで忘れてはならないのがトラックやバスといった大型車なのです。

脱炭素化という目標を達成するにあたり、リチウムイオン電池や燃料電池などの代替技術を長距離または大量の貨物積載を目的とした車両にも同時に採用していくことが極めて重要となります。

気候変動への対処に必要な時間内にあらゆる輸送手段を電動化するのは困難な作業です。

継続的な半導体不足、電池の価格高騰、エネルギー不足を取り巻く諸問題といった逆風がEV消費者の心理に悪影響を及ぼし、乗用車電動化の進展を妨げる恐れがあります。脱炭素化という目標を達成するにあたり、リチウムイオン電池や燃料電池などの代替技術を長距離または大量の貨物積載を目的とした車両にも同時に採用していくことが極めて重要となります。そうすることによって、環境への悪影響を最短の時間枠で最小限に抑えることができるでしょう。ただ、大型車への代替技術の採用を確実にするには、一連の独特な課題を伴います。

© Caleb Ruiter Unsplash

トラックは所有者から見ると投資財です。車両の初期費用とペイロードとのバランスをとることによって、一定の投資利益率が保証されることになります。この費用便益計算に影響を及ぼす可能性があるのが電池のサイズでしょう。また、全車両が走行した場合に電力網と発電容量が新規需要に対応できるのかという疑問が生じることも多々あります。最適な充電のニーズと戦略を考え出すのは車両所有者の仕事となります。

© Nathalia Segato - Unsplash

バスの電動化は、運輸部門の脱炭素化の加速を試みるもう1つの進歩です。地方自治体は電気バスというアイデアに精力的に取り組んでおり、これは世界で30%以上というEV普及率の最も高いセグメントになっています。とはいえ、航続距離とパフォーマンスに関するハードルがあります。バスの場合、冷暖房、坂道、停車と発車、交通速度、停車の頻度、乗車率のすべてが予測パフォーマンスを混乱させる要因です。先行投資は、ディーゼル車に比べて依然として高く、2倍に上ることもあります。

トラックやバスの電動化を強化する際に重要な役割を果たせる政策や金融商品がいくつかあります。

バスに関しては、競争力のある入札を奨励する政策、グリーン公共調達プログラム、購入助成金、充電インフラ整備への直接支援とともに、効果的な排出基準などがうまく機能すると考えられます。

トラックの場合、この市場セグメントに属する企業の99%が中小企業であることから、著しい先行投資コストの影響を緩和するオーダーメイドの債務融資手段とリスク管理ツールが役立つことでしょう。

世界は、化石燃料ベースの技術システムの存続が気候変動を助長する環境影響にもかかわらずそれを容認しようとする道筋からは急速に離れようとしています。電動化と脱炭素化に向けたさまざまな新しい道に対して、継続的な支援と受容が必要です。乗用車の電動化は、脱炭素化の解決となり得る1つの道です。そして、大型車やバスの電動化は、最適な解決策として役立つ可能性のあるもう1つの道だと言えるでしょう。

要するに、乗用車と大型車の双方が私たちの地球に対する負担を軽くして走るという考え方です。

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