リスク評価

ニッケル化合物の毒性で特定されたような職場での健康リスクを評価するには、適切なデータ収集から始めなければなりません。それには職業暴露のモニタリング(健康管理ガイド 第3版:第7章)のみならず、労働者の健康を維持し労働環境でのリスク全体を低減することを最終目標に、労働者一人一人の健康評価を行うことも必要です。そのためには労働者の定期的な健診だけでは十分ではなく、疫学調査やひいてはリスク評価に利用できる体系的なデータを収集するプログラムも実行する必要があります。国によっては健康調査プログラムの実施を義務づけているところもあります。このような場合、企業ごとの調査プログラムは、関連する地域または国内のガイドラインに準拠しなければなりません。一貫したデータの収集と保管を支えるインフラおよびシステムの構築には、努力、慎重な計画、適切な資源配分が必要です。これはつまり、(CEOを筆頭とする)最高経営陣から最若年の労働者に至る全員の協力と努力が必要だということです。定量的なリスク評価のためのデータ収集システムを構築する基本として、具体的な一連のステップが明らかにされています(Vermaほか、1996年;ICME、1993年)。

なお、日本語版「健康管理ガイド 第3版」では、日本語版追補として、「日本におけるニッケル化合物の規制(平成21年4月1日施行)について」の資料が掲載されています。

「リスクとハザードの違い」の説明ビデオ(英語版)

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