化学品管理

ニッケル含有材料は、その耐久性とリサイクル性から、持続可能性に重要な貢献を果たすことができます。ただし同時に、これらの材料が健康と環境に及ぼす影響を理解し、管理することも肝要です。

ニッケル協会は、ニッケルとニッケル化合物、またこれらのライフサイクルに対する理解を継続的に拡大・深化させ、安全な使用に関する情報を提供してきました。さらに、適切なリスク管理措置を奨励するとともに、健全な科学に基づく適切な規制も支援しています。また、国際的な化学品管理のための戦略的アプローチ(SAICM)の導入は重要であるというのが当協会の見解です。

有効な化学品管理規制に適用すべき原則

SAICMの影響を受けて、化学品管理に対するアプローチを強化する過程にある国が増えつつあります。 ニッケル協会は、こういった規制に対し、下記原則の適用を提唱します。


  • 不確定要素に基づいて規制をかけ、過度に予防的な方針をとるのではなく、物質とその使用に関する知識の拡大・深化に重きを置く。
    • 金属やその他の無機質は有機質と異なる反応を示すため、規制当局はその特異性を考慮に入れる必要がある。そうしなければ、有害性とリスクを正確に予測し、適切な対策を講じられる化学品管理制度にはならないであろう。
  • ただ単に有害性のみに基づいて一元的に規制を適用するのではなく、有害性がリスクにつながる状況において対策を講じるような、リスク管理措置を求める規制を制定すべきである。
  • 一貫性のある規制を求める。世界各国において、「化学品管理制度」は様々な規制の組合せになっており、二重規制につながりかねない。適切な化学品管理のため、異なる省庁が異なる規制を制定し適用しているため、省庁間の協力と調整が必須となる。リスク管理に関する決定は常に化学品管理制度に基づいて全体的になされるべきである。最も適切かつ効果的なリスク管理の方法が全体として選択されるべきであり、各省庁がリスク管理措置を重複して非効率・非一貫的な規制体系にするべきではない。
  • 現在使用されている物質を代替品に変更させるという規制的圧力は、必ず技術的にも経済的にも実行可能で、より低リスクを示す代替品が存在する場合に限定すべきである。 そうしないと、代替品が実際には同程度のリスク、または低性能だったことが後になって判明するなど、規制的圧力が悔やまれる結果につながりかねないからである。
  • 化学品の管理をより大きな全体像として捉えるようにする。有害物質は、時にきれいな空気、再生可能エネルギー貯蔵やイノベーションの促進支援など、その他の幅広い社会的ニーズへの対応の一部でもある。従って、物質に対する規制リスク管理に関して決定を下す際には、必ず社会経済的影響も考慮に入れるべきである。
  • 規制上のリスク管理措置を適用する前に、利用者が情報を得たり、導入が予定されている規制について意見したりできる機会を設ける。これは、適切な規制を設計し、規制措置の予期せぬ結果を避ける上で役立つ。ニッケル協会では、その科学部門であるNiPERA Inc.とともに、このような情報を必要に応じて提供する用意がある。

ニッケル協会は、化学品管理における進展を監視し、法令遵守を促進するべく、会員への情報提供を目的として、世界的に活動する国際金属・鉱業評議会(ICMM)や欧州連合に焦点を合わせた欧州非鉄金属業協会(Eurometaux)加盟の非鉄金属製造者およびリサイクル業者協会といった包括的組織を通しても活動しています。またこれらの団体・協会を介して、ニッケルやニッケル化合物を始めとする無機質の特異性の理解を促進する活動も行っています。

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