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ステンレス・セミナー2023のご案内

2023年9月12日

「ステンレス鋼の上手な使い方-特性と事例」

ステンレス配管研究会は非営利の団体です、2000年4月の発足以来毎年日本各地及び近年は台湾、中国各地でセミナーを開催しております。コロナ禍により3度のオンラインによる開催を致しましたが、2023年度のセミナーは、島根にて、対面形式の開催を致します。ステンレス鋼に携わる関係者多数の参加をお待ち申し上げます。

日 時 2023年11月10日(金) 13:00~17:20
場 所 テクノアークしまね本館4階大会議室
参加費 無料
定 員 50名程度
資 料 会場にて講演資料配布
主 催 ステンレス配管研究会
協 賛 ステンレス協会 ニッケル協会
後 援 島根県産業技術センター
申 込 セミナー申し込みは終了いたしました
お問い合わせ ニッケル協会東京事務所(担当:オウ ヨウ)
電話:03-3436-7953
お問い合わせフォームはこちらから
申込締切 2023年11月6日(月)
プログラム(※各講演の最後に5分の質疑応答時間を設けています)
総合司会 ニッケル協会 東京事務所長 竹田 賢二
13:00~13:05 開会挨拶
ステンレス配管研究会 名誉会長 工学博士 遅沢 浩一郎
13:05~13:20 講演(1)「EV及びステンレスの需給とニッケルについて」
講演者:ニッケル協会 東京事務所長 竹田 賢二
13:20~14:05 講演(2)「ステンレス鋼とその特性」
講演者:日本冶金工業(株) 工学博士 及川 誠
14:05~14:50 講演(3)「淡水系におけるステンレス鋼の腐食事例と対策」
講演者:ステンレス配管研究会  工学博士 山手 利博
14:50~15:00 休憩
15:00~15:45  講演(4)「含塩化物溶液中におけるステンレス鋼の腐食防食 -海水、淡水中での微生物腐食を中心としてー」
講演者:元新日鐵住金 工学博士 幸 英昭
15:45~16:30 講演(5)「ステンレスフレキを利用した給・排水管の漏水率削減と耐震性の向上」
講演者:株式会社昭和螺旋管製作所 石井 誠
16:30~17:15 講演(6)「建築設備に使用されるステンレス配管の工場プレハブ加工と溶接」
講演者:ジャパン・エンヂニアリング株式会社 村木 大作
17:15~17:20 閉会挨拶
ニッケル協会 東京事務所長 竹田 賢二
17:20 終 了

ステンレスセミナー2019(於:上海交通大学)の様子

主催者ご挨拶

ステンレスセミナー 2019(於:上海交通大学)の様子

ステンレス鋼は約100年前に発明された材料である。普通の鉄鋼は空気中に放置すると直ぐ錆びてしまうが、鉄に約12%以上のクロム元素を含有させるだけで、多くの環境でさび(腐食)に耐えるきわめて優れた実用材料である。クロムは、錬金術師が求めていた賢者の石のようなもので、これを加えることによって金は得られなかったが、錆びない鋼に変身したのである。耐食性などの向上を図るために、クロム以外にニッケル、モリブデンその他の元素を含有させたステンレス鋼も多く開発され、日本工業規格(JIS)にも80種類以上が規定されている。

本セミナーの主催者であるステンレス配管研究会(2000年に設立)は、一般、営業、技術および学校関係の方々を対象として、配管関連だけでなく、広くステンレス鋼全般に関して上手に使ってもらうために、セミナーを開いて解説およびアドバイスを行ってきた。ステンレス配管研究会の活動は、協賛者であるニッケル協会および日本のステンレス協会のご支援によって行なわれており、両協会の日頃のご協力に対して深く感謝致したい。

ステンレス配管研究会主催のステンレスセミナーは、過去に日本の主な都市ばかりでなく、台湾や中国でも、毎回100名以上の参加者を迎えて開催してきた。WEBでセミナーを開くのは3回目であり、リアル開催と異なり至らぬ点も多いと思うが、皆様に少しでもお役に立てれば幸いである。

ステンレス配管研究会 名誉会長 遅沢 浩一郎

遅沢 浩一郎(おそざわ こういちろう)

早稲田大学金属工学科卒業。
日本冶金工業(株)勤務。
主にステンレス鋼およびNi合金の製造技術・研究開発に従事。
1999~2009年日本冶金工業にて技術アドバイザーを務める。
現在、ニッケル協会顧問、ステンレス配管研究会会長、腐食防食学会名誉会員。

講演者紹介と講演概要

講演(1)「EV及びステンレスの需給とニッケルについて」
講演者:ニッケル協会 東京事務所長 竹田 賢二

<講演アブストラクト>

現在カーボンニュートラルに向けてガソリン車からEVへのシフトが始まっているが、同時にリチウムイオン電池とその原料素材の需要も高まっている。ニッケルとステンレス、そしてEVすなわちリチウムイオン電池の関係とそのトレンドについて簡単に説明する。

<講演者プロフィール>

竹田 賢二(たけだ けんじ)

九州大学工学部卒業。住友金属鉱山入社、ニッケル工場や製錬研究所を経て2018年より2年間メタル経済研究所に勤務。2021年よりニッケル協会東京事務所所長。


講演(2)「ステンレス鋼とその特性」
講演者:日本冶金工業(株) 工学博士 及川 誠

<講演アブストラクト>

ステンレス鋼は100年前に発明されて以来、世の中のニーズに合わせて多くの鋼種が開発され、多岐にわたる分野で使用されて社会に貢献している。本講演では、ステンレス鋼の基礎知識として、ステンレス鋼の定義、分類や種類、代表的な特性(機械的性質、物理的性質、耐食性)や用途について説明を行う。

<講演者プロフィール>

及川 誠(おいかわ まこと)

東北大学工学部 金属・材料系 博士課程を終了(卒業)。日本冶金工業(株)に入社。技術研究所に20年に勤務し、主に材料開発に従事。2011年からは、(現在の部署である)ソリューション営業部にて、市場開発やソリューション型技術営業に従事。現職はソリューション営業部 部長。


講演(3)「淡水系におけるステンレス鋼の腐食事例と対策」
講演者:山手 利博(工学博士) / ステンレス配管研究会

<講演アブストラクト>

ステンレス配管が建築設備配管系に登場して40年以上になる。ステンレス鋼は水道水環境では既存の金属材料に比べて飛躍的に耐食性が高く,衛生と意匠的見地からも広く普及した。しかしながらその間,材質特性の周知不足等による設計・施工・使用上の問題から各種の腐食事象が発生し,ときに漏水事故に繋がることもあった。本稿では主に建築設備の屋内配管における代表的な腐食事例と淡水の一つである温泉での備品腐食について紹介する。また腐食要因と対策についても述べる。

<講演者プロフィール>

山手 利博(やまて としひろ)

明治大学工学部(現理工学部)工業化学科卒業。広島大学大学院工学研究科環境工学専攻博士課程修了。株式会社 竹中工務店(技術研究所)において水環境業務に従事し、その一環として設備配管・機器の腐食防食を担当。2013年退社。
現所属:ステンレス配管研究会
博士(工学)、腐食防食専門士((公社)腐食防食学会認定)、防錆管理士((一社)日本防錆技術協会認定)、(公社)腐食防食学会永年会員、(公社)空気調和・衛生工学会技術フェロー。


講演(4)「含塩化物溶液中におけるステンレス鋼の腐食防食」
講演者:幸 英昭(工学博士)

<講演アブストラクト>

海水および河川水等の自然水環境で発生するステンレス鋼の局部腐食は、ほとんどの場合表面に付着した微生物の影響を受ける。微生物存在下での自然電位の大幅な貴化が原因で、孔食・隙間腐食感受性が高まりやすい。SUS304、316等の犯用ステンレス鋼は、好気性微生物の影響で局部腐食の発生が避けられない。また、これらの汎用ステンレス鋼では河川水を利用した工業用水配管あるいは農水タンクにおいて、溶接部に微生物腐食を受けることがある。溶接時に生成した溶接スケールの影響で耐食性が劣化した部分が微生物腐食を受けやすい。10~20ppm程度の塩化物イオン濃度でインク壺上の局部腐食が発生することもある。 溶接部の幾何形状から微生物が付着し易いことも原因である。以上、微生物と関係したステンレス鋼の塩化物溶液中での腐食防食について説明する。

<講演者プロフィール>

幸 英昭(みゆき ひであき)

東京工業大学 大学院 理工学研究科電子化学専攻修士卒業。住友金属工業(株)※入社 和歌山製鉄所にて現場実習後、中央技術研究所 化学研究室 配属。以来、定年まで腐食防食分野の開発研究に従事し、その後、副主任研究員、主任研究員、研究主幹、部長研究員、2014年退社し、以後2018年まで特別講師として若手研究者を指導。
※住友金属工業(株)は2012年に新日本製鐵(株)と合併し新日鐵住金(株)となり、2019年には日本製鉄(株)となっている。
博士(工学)。腐食防食協会 理事、評議員を歴任、また2009年度腐食防食討論会実行委員長。腐食防食学会論文賞、鉄鋼協会俵論文賞、日本金属学会論文賞、材料学会技術賞、日本金属学会功績賞、腐食防食学会功績賞等。


講演(5)「ステンレスフレキを利用した給・排水管の漏水率削減と耐震性の向上」
講演者:株式会社昭和螺旋管製作所 石井 誠

<講演アブストラクト>

気候変動の影響が増大し、水資源の価値がますます高まっています。東京都における給水管の漏水率は、1979年には15.5%でしたが、給水管のステンレス化の促進と1998年からの施工性、さらには耐震性に優れた波状ステンレス鋼管の全面導入により、2021年には3.5%にまで低下しました。ただし、水道管路における漏水の大半は給水管から発生しているため、給水管の漏水率をさらに低減し、持続的に維持することは弊社の社会的責任です。本稿では、漏水率の削減と水道インフラの安定的な維持に貢献する波状ステンレス鋼管として知られるステンレスフレキの特徴や、その優れた耐震性について説明します。さらに、ステンレスフレキの使用事例として、SDF工法(老朽管の更新)を紹介します。

<講演者プロフィール>

石井 誠(いしい まこと)

工学院大学機械工学科卒業。株式会社昭和螺旋管製作所においてステンレス製フレキ(ベローズ)の設計開発業務に従事する。2018年からは水道用波状ステンレス鋼管、消火配管用巻出し管の製造責任者(工場長)を務め、現在は技術本部管掌(執行役員)及び経営戦略室部長。


講演(6)「建築設備に使用されるステンレス配管の工場プレハブ加工と溶接」
講演者:ジャパン・エンヂニアリング株式会社 村木 大作

<講演アブストラクト>

工事現場の配管工は高齢化や働き手不足により配管工が集まりにくくなっている。こうした背景で施工品質の低下などが問題視されており、これに対応するため、軽くて扱いやすいステンレス配管を使用し、かつ、納品後、取り付けるだけで施工が完了する工場プレハブ加工が主流になりつつある。本講演ではステンレス配管の工場プレハブ加工における規格、用途、加工方法、メリット等についての説明を行う。

<講演者プロフィール>

村木 大作(むらき だいさく)

2002年にジャパンエンヂニアリング㈱に入社。設計部門で10年、積算部門で3年、2015年からは(現部署)の開発部門で既存製品の改良や新製品の開発に従事。現在は開発部門の課長代理。

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