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「ニッケルセミナー2019 ― 職業ばく露とは」を開催しました

2019年12月11日

ニッケル協会東京事務所は11月20日(水)、「ニッケルセミナー2019 ― 職業ばく露とは」と題してセミナーを開催いたしました。当日は50名以上の参加者にご出席を賜り、様々な大学や研究機関の専門家をはじめ、産業界からも企業の労働安全衛生管理担当者の多数のご参加をいただきました。

ニッケル協会東京事務所 江崎所長 挨拶

基調講演となる最初の発表は、元 米国労働安全衛生研究所 (NIOSH) 勤務で、現在ゼフォン・インターナショナル社において科学研究担当ディレクターならびにフロリダ大学客員教授を務めるマーティン・ハーパー博士による「Assessment of Worker Exposure to Metals in Dusts - 粉じん環境下での作業者の金属ばく露評価」と題した内容でした。ハーパー博士は、作業環境におけるばく露測定の歴史を振り返り、吸引性画分の登場ならびにエアロゾル測定での留意点、また個人サンプラーを用いたばく露測定について講演しました。ハーパー博士は職業ばく露測定における第一線の研究者であり、同博士を基調講演者としてお迎えし日本において博士の経験と知見を聞く機会を得たことは大変光栄であったと参加者からご好評をいただきました。

元NIOSH マーティン・ハーパー博士 講演

二人目の発表者はニッケル協会ブリュッセル事務所に常勤し様々な労働安全衛生管理プロジェクトを担当しているスティーブン・バッパーレ氏で、講演タイトルは「Occupational Exposure Assessment for Nickel in Europe: Compliance, Measurability and Speciation - 欧州でのニッケルの職業ばく露評価:コンプライアンス、可測性、ニッケル種」でした。同氏は、国際的に見てニッケル種は国によって様々なグループ化がなされ、各々に各国独自の職業性ばく露限界値 (OELVs) が設定されていることから、国際的に OELVs を比較することの難しさを指摘しました。異なる国々で収集された試料データは、サンプルの採取法やラボでの分析法に違いがあるため直接的に比較することは困難なため、国際的な試料データベースの構築の必要性を訴えました。

ニッケル協会ブリュッセル事務所 労働安全衛生担当 スティーブン・バッパーレ氏 講演

最後の発表者は、ニッケル協会の科学研究部門である NiPERA のケイト・ハイム博士でした。ハイム博士は、同研究所のヒトの健康に関する上席研究員・毒性学者であり、皮膚感作性の研究を専門としています。同博士は、「Occupational Exposure Assessment for Nickel: Dermal Exposure and Biomonitoring - ニッケルの職業ばく露評価:経皮ばく露と生物学的モニタリング」ならびに「Health Basis OELs in the EU - 欧州連合におけるニッケル職業ばく露限界の健康基準」と題して二本発表を行いました。前半の講演では、NiPERA が後援した一次生産作業環境での経皮ばく露調査の結果ならびに尿中レベル調査の結果を発表しました。実際の測定値は管理基準値よりも低い値であったこと、また種別(水溶性、難溶性、不溶性)に影響を見極める必要があることの必要性を説きました。後半の講演では、ニッケル協会 科学研究部門 (NiPERA) と欧州化学品庁 リスク評価委員会の職業ばく露限界値に関する取り組みを比較し、両者の見解にほぼ違いがないことを報告しています。

ニッケル協会科学研究部門 (NiPERA) 上席研究員・皮膚感作性専門家 ケイト・ハイム博士 講演

今年度は職業ばく露限界に焦点をあてたニッケルセミナーを開催いたしましたが、今後も当協会はニッケルにまつわる情報を様々な観点から皆様にお届けすべくセミナーを開催して参ります。

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