ニッケルブログ

ニッケルとネットゼロ

2021年10月28日

グラスゴーで開催される国連気候変動枠組み条約第26回締約国会議(COP26)において各国代表が気候危機に対する解決策を模索するなか、解決策の焦点となるのはクリーンエネルギーでしょう。クリーンエネルギー技術は、生産するために多くのエネルギーが必要な金属や鉱物に依存せざるを得ませんが、それでも国際エネルギー機関(IEA)によると、気候変動対策においてこれら技術の利点は明白なのです。

© UKCOP26.ORG

「今世紀半ばまでに世界のCO2ネットゼロを確保し、1.5度未満に保つ」、これは2021年11月に開催されるCOP26気候変動サミットの呼びかけです。この会議に出席する約200カ国に対して野心的な排出削減への取り組みが求められています。石炭を段階的に廃止し、電気自動車への切り替えを加速させるとともに、森林破壊を抑制し、再生可能エネルギーへの投資を促進させることが議題に上がっています。

世界を動かすエネルギーシステムと技術の大幅な見直しを推進するには、政府の決定的な政策変更、投資、消費者の選択が必要です。化石燃料の段階的廃止は時間のかかるプロセスですが、2020年には新型コロナウィルス感染症の世界的な大流行により、石油、ガス、石炭からのエネルギー需要が前年比で5%減少しました。同時に、再生可能エネルギーなどの新エネルギーシステムからのエネルギー需要は回復力を保っています。そして、ニッケルは、これらの新エネルギー技術展開の促進を成功させるために必要とされているのです。

鉱物生産による排出量の上昇圧力に対し、一層強固な措置が求められるものの、クリーンエネルギー技術の気候上の利点は明白である。

出典:IEA(2021)クリーンエネルギー転換における重要鉱物資源の役割に関する報告書。
無断複写・複製・転載を禁ず。(17ページ)

ニッケルの重要性

経済協力開発機構の国際エネルギー機関は、最近の報告書『クリーンエネルギー転換における重要鉱物資源の役割』で、クリーンエネルギー技術におけるさまざまな鉱物の重要性を示しています。ニッケルは、同報告書で取り上げられた10エネルギー部門のうち6部門で高または中レベルの重要性とされました。その固有の 特性は、地熱、電気自動車やエネルギー貯蔵用バッテリー、水力、風力、集光型太陽光発電、原子力など、さまざまな分野で貢献しています。一部の排出削減技術においては、ごく少量のニッケルしか必要としない場合もありますが、その少量が重要な役割を果たすのです。

IEA (2021), The Role of Critical Minerals in Clean Energy Transitions, IEA, Paris
https://www.iea.org/reports/the-role-of-critical-minerals-in-clean-energy-transitions

一部の排出削減技術においては、ごく少量のニッケルしか必要としない場合もありますが、その少量が重要な役割を果たすのです。

カーボンフットプリントの削減

とはいえ、低炭素経済に必要なニッケル生産のカーボンフットプリントはどうなのでしょう?ニッケル協会のメンバー企業が過去20年間でニッケル総生産量からの温室効果ガス排出量を9%ほど削減したという証拠がある一方で、同業界は、まだすべきことが残っていると認識しています。

ニッケル協会のメンバー企業は、自らの工程のエネルギー効率を高め、炭素依存度を抑えるべく、幅広い解決策を導入し、炭素排出量の削減に取り組んでいます。


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  • また、ニッケルは、寿命が尽きた際に最もリサイクルされた金属の1つであり、何度でも使用可能です。ただし、使用寿命が長く、リサイクルされるまでに数十年かかることがあります。
  • そうは言っても、将来的には、より多くのニッケルが利用可能となり、ニッケルを最初から生産するよりも、リサイクルした方が、一般的にエネルギー消費量の抑制につながることから、カーボンフットプリントはさらに削減されることになるでしょう。
  • そして、ニッケルが実現する、より環境に優しいエネルギーの利用可能性が高まるにつれ、ニッケル生産自体のカーボンフットプリントも削減されることになります。つまり、一種の好循環なのです。

ニッケルの再生可能技術への貢献、その透明性が高いライフサイクル分析についてはこちらをご覧ください。また、メンバー企業によるカーボンフットプリント削減努力の例も一部ご紹介しています。

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