ニッケルブログ

未来をカスタマイズ - 次の産業革命

2020年11月24日

皆さんが私と同じように、未来を占うような文章を見て違和感を覚えるような方であれば、人工知能(AI)についても懐疑的でしょう。しかし現実的には、AIはすでに人間を凌駕するほどの成果を上げており、今も進化し続けています。そして数多くの分野において私たちの命を守るまでに至っているのです。

日常的な例を挙げると、AIが活躍している分野は言語・画像・顔認識・行動の解釈そしてニュース記事の生成にまで至ります。AIが製造部門において破壊的変革力となる日はすぐそこまで来ており、私たちは第五次産業革命(インダストリー 5.0)の時代に突入することになります。

産業革命は18世紀から繰り返し起きてきました。第一次産業革命の触媒となったのは機械化です。その後、電化によって組立ラインによる大量生産が可能となりました。これが結果として1970年代の電子機器とコンピューターの導入による自動化につながったのです。

そして今、私たちは、デジタル化、モノのインターネット(IoT、コネクテッドデバイスやデータ解析)といった革命である第四次産業革命(インダストリー 4.0)と、製造へのAI導入という第五次産業革命(インダストリー 5.0)の変わり目にいます。これらの革命は社会の劇的な変化も伴うものであり、例えば、日本では「ソサエティー 5.0」として知られています。


ソサエティー 5.0

製造システムと人間の参加を、その運用とガイダンスにおいてより密接に統合させれば、産業オートメーションの高速な正確性と人間の認知的・批判的・直感的な創造技能の融合が実現します。ソサエティー 5.0とは、2015年頃から日本政府が奨励してきた概念で、技術開発の中心に産業ではなく、社会全体を置くというアイデアです。ソサエティー 5.0では、技術に触媒、原動力としての役割を与え、社会に属する人々の全般的な幸せを目指し、超インテリジェントな社会・技術エコシステムの構築に向けて努力していきます。ソサエティー 5.0は、インダストリー 4.0を採用し、その中心に人間を据えるものです。


第五次産業革命のビジョンは「人と機械の協力」、つまり人間とAIが協調性をもって協働することにより可能となるマス・パーソナライゼーションとカスタマイゼーションです

金属産業のAI分野における関心の的は、カスタマイズされたニッケル含有鋼とニッケル合金の製造において、AIがどのように調査され、利用されているのかという点です。AIには持続可能性に向けた最適な製造を手助けする潜在能力があります。新規の、正確かつ反復可能な成果を生み出そうとする業界を手助けしているのです。人間には不可能な「ビッグデータ」の処理がAIには可能です。すでに仕様設定やその他の知的タスクにおいて活用されており、時間と費用を劇的に削減し、新たなより良い解決法を提供しています。

インダストリー 5.0はAIがすべてではない

カスタマイゼーションとパーソナライゼーションの実現においては、積層造形(AM、いわゆる3Dプリンター技術)も急速に主流になってきています。ニッケル含有合金は、積層という意味において製造業者の間で最も人気が高く、なじみ深いものから新たな特性に至るものまで成果を上げています。AIとAMの組合せは、より持続可能でカスタマイズされた未来の製造に向けて数多く存在する可能性のほんの一例に過ぎません。

そして、何よりも未来的で、より高度な持続可能性・新構造・AIを必要としているのが宇宙旅行でしょう。電気自動車で有名なテスラ社のイーロン・マスク氏が率いるSpaceX社の再利用可能ロケットは、ニッケルと積層造形からちょっとした力を借りて、宇宙探査の経済を変えようとしています。

ニッケル誌(今年、発刊35周年)の最新版では、このようなトピックの一部が取り上げられています。ぜひ当協会HPよりご一読ください。

ブログ本文(英語版)へ

←ブログ一覧へ戻る

このページのトップへ