ニッケルブログ

機能的なファサードは
建物と建設にまつわる温室効果ガスの排出問題を解決する一助に

2020年4月21日

今日存在する建物のおよそ3分の2は2050年になっても存続すると言われ、2060年までには世界でさらに2300億m² もの建物が新築で建設され追加されると見られています。この数値は現在世界に存在する建物の広さの合計と同等です。建物による環境負荷を軽減するため、建設業界はどのような策を講じることができるのでしょうか?

世界のセクター別二酸化炭素排出
出典:建築・建設部門におけるグローバルアライアンス (GABC)

国連環境計画 (UNEP) によると、建物自体ならびにその建設工事により地球の36% のエネルギーが消費され、年間40% に近い温室効果ガスが排出されているとのことです。このようなUNEPによる推定の中、建設業界は使用部材の選定ならびに設計を注意深く行うことで大きな排出の違いが起こるでしょう。

カーテンウォール(幕壁、帳壁)のような機能的なファサード(建物正面部分のデザイン)を取り入れることは賢明なアプローチでしょう。カーテンウォールはエネルギー効率に大きな影響を与え、建物自体ならびに中の人々を気候、熱、騒音、日光などから守るものです。そのため当然のことながらカーテンウォールは近年注目を集めてきました。

国際エネルギー機関 (IEA) は、建物の外壁性能を改善することによる省エネの可能性は大きいと考えています。世界的に、新築のビルについては高性能なものを建築し、既存のビルについては改築して徹底的にエネルギー的改善を行えば、省エネの総量は2015年にG20諸国が消費したエネルギーの合計を上回ると予想されます。これは2060年までの累積省エネルギー量が 330 EJ (1 エクサジュール= 1018ジュール)となることを意味しています。

このような中、建築家は様々なカーテンウォールの材料を選ぶことができます。ニッケル含有ステンレス鋼の熱伝導性は低く、腐食環境にある建造物や建設した時に露出される構造用鋼材として理想的です。そして、そのライフサイクル費用についても卓越した実績を持っています。

ニッケル含有ステンレス鋼の熱伝導性は低く、
腐食環境にある建造物や建設した時に露出される構造用鋼材として理想的です

例えば、一流の建築設計事務所である Pelli Clarke Pelli Architects 社 (PCPA)は、過去30年に亘りファサードのデザインにステンレス鋼を取り入れてきました。PCPA 社上海事務所長である建築家の Jie Zhang 氏は「ステンレス鋼を使用したビルのファサードは大きな視的効果があり素晴らしい光沢があり、時間が経過してもまるで新品のようです。しかしながらファサードへのステンレス鋼の使用が効果的となるのは十分な予算、厳密な詳細設計と仕様の選択、更には精巧で質の高い製造・建築技術にかかっています」と説明しています。PCPA 社はビルのファサードにステンレス鋼を様々な異なる形で使用してきましたが、同社のプロジェクトはニッケル協会発行の機関誌『ニッケル誌』(2020年 4月号)にて特集され、その中で同氏はステンレス鋼を使用する上での利点や課題を回顧しています。

さらに『ニッケル誌』では各国のランドマークとなる高層ビルのプロジェクトを紹介しており、ロンドンの One Canada Square ビルやクアラルンプールのPetronas Towers ビルを取り上げています。これらのビルはステンレス鋼を纏った象徴的なビルの中では代表格と言えるでしょう。また、この90年間ずっとニューヨークのスカイラインの呼び物となっているクライスラービルを考えてみて下さい。ニッケル含有ステンレス鋼が単に美しいファサードへの使用だけに留まっていないという証です。

建物外壁用のニッケル含有材料に関する技術的な情報はニッケル協会ウェブサイトのライブラリーより無料でダウンロード可能です。

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