ニッケルとSDGs:国連の持続可能な開発目標

表からは見えませんが、ニッケルは持続可能性に必要な多くの技術を支える存在です。ニッケルは多くの国連の持続可能な開発目標の達成に様々な形で貢献しています。

持続可能な開発目標(SDGs)とは、2001年に策定されたミレニアム開発目標(MDGs)の後継として、2015年9月の国連サミットで採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」にて記載された2030年までに持続可能でよりよい世界を目指す国際目標です。17のゴール・169のターゲットから構成され、地球上の「誰一人取り残さない」ことを誓っています。 SDGsは発展途上国のみならず、先進国自身が取り組む普遍的な目標です。

SDG3:すべての人に健康と福祉を
(あらゆる年齢のすべての人の健康的な生活を確保し、福祉を推進する)

ニッケルができること

ニッケル含有ステンレス鋼の品質と優れた性能は先端医療ならびに医療機器の製造や提供において非常に重要な役割を担っています。ニッケルはステンレス鋼の性能を高める働きをし、医療機器自体や医薬品製造施設の強度や耐食性を保ちつつ、度重なる殺菌消毒にも耐え得る能力を提供します。これにより高額な機器や施設の品質低下を避けながらも長い耐用年数を可能にしているのです。

ニッケル協会の活動

ニッケル協会は、医療用途のニッケルが安全かつ効果的に使用できるよう、ヒトの健康に関する科学研究結果ならびに技術的専門知識を提供しています。

SDG6:安全な水とトイレを世界中に
(すべての人に水と衛生へのアクセスと持続可能な管理を確保する)

ニッケルができること

ニッケルは実際水道を供給するほとんどすべての段階で水道供給をサポートしています。ニッケルの持つ強度、靭性、延性、溶接のし易さ、耐食性は、水の処理と給排水においては理想的です。ニッケル含有ステンレス鋼は水道配管や水処理機器・施設において使用されていますが、これはステンレス鋼の有する耐久性、設置のし易さ、使用上の安全性といった利点のためです。

ニッケル協会の活動

ニッケル協会は、安全で効果的な水処理ならびに漏水を防ぐための革新的なソリューションであるステンレス鋼製水道配管等について技術支援と情報を提供しています。また環境保護ならびに水の安全性を確保するため、しっかりとした科学研究に基づいた水質基準が制定されるようデータ等を提供しています。

SDG7:エネルギーをみんなに そしてクリーンに
(すべての人々に手ごろで信頼でき、持続可能かつ近代的なエネルギーへのアクセスを確保する)

ニッケルができること

電池、風力発電用タービン、太陽電池、バイオエネルギー施設、炭素回収貯留施設、原子力発電所などにおいて、ニッケルは低炭素エネルギーの生成ならびに貯留において主要な構成要素として極めて重要な役割を担っています。世界が気候変動問題を解決しようと努力する中、ニッケルはこれらの技術をその解決策の中心に据える裏方の役割を果たしています。

ニッケル協会の活動

ニッケル協会は、重要なエネルギー分野で材料や素材の仕様を決定する人々にニッケルの利点を理解してもらえるよう努め、技術的な知識を提供しています。これによりニッケルの特性が充分発揮され、クリーンで効果的かつ手ごろな価格のエネルギー供給に貢献しています。

SDG9:産業と技術革新の基盤をつくろう
(強靭なインフラを整備し、包摂的で持続可能な産業化を推進するとともに、技術革新の拡大を図る)

ニッケルができること

ニッケルが物理的・機械的な特質を有するため、強度が高く耐用年数の長いステンレス鋼製の鉄筋や構造用鋼は様々な建築物やインフラに使用されています。カーテンウォールから橋梁まで、ニッケルはほとんどの過酷な環境の中でも性能を発揮し、構造物の耐用年数の長寿命化ならびにメンテナンスなどを含めた総費用の低減に貢献しています。

ニッケル協会の活動

ニッケル協会は、建築構造用の材料・素材の仕様担当者にニッケルの利点を理解してもらえるよう活動しています。世界中のエンジニアや使用担当者に対して技術的知識を提供し能力形成に貢献しています。ニッケル協会はワークショップや刊行物を通じて、建築構造用にとって最善の材料・素材を選ぶ際のノウハウを提供し、環境的要因やライフサイクル費用などの観点も考慮しています。

SDG11:住み続けられるまちづくりを
(都市と人間の居住地を包摂的、安全、強靭かつ持続可能にする)

ニッケルができること

ニッケル含有材料は人々の都市環境をより安全に、より魅力的に、そしてより耐用年数を長くしています。ニッケル含有材料の特性により、創造的かつ費用対効果の高い建築物や交通システムが可能となっています。これにより多機能でスマートな建物やインフラが構築されています。人々が現代の持続可能な都市で期待する安全でクリーンかつ効果的で重要なサービス、例えば持続可能な発電や水道システムは、ニッケルが裏方として働きそれらを可能にしているのです。重要な構成部分に使われているニッケル含有材料は、耐久性があるためメンテナンスも頻度も少なくてすみます。これにより耐用年数を伸ばし、環境コストも低く抑えることが可能です。

ニッケル協会の活動

ニッケル協会はニッケルとそのライフサイクルやリサイクルに関する情報を収集しています。そして持続可能な材料・素材を選定する際に参考になるよう、これらの情報を提供しています。ニッケル協会は世界中のエンジニアや仕様担当者に対し、技術的知識を提供し能力形成に役立ててもらっています。ニッケル協会のワークショップや刊行物は街づくりにとって最適な材料・素材を選定するためのノウハウを提供し、環境的要因やライフサイクル費用をも考慮したものです。ニッケル協会は、都市の水道サービスにとって革新的なソリューションに関する技術サポートや情報提供を行っています。

SDG12:つくる責任 つかう責任
(持続可能な消費と生産のパターンを確保する)

ニッケルができること

ニッケルの特性とは、ニッケルが含有される素材や材料の長寿命化を可能にし、耐用年数が終わった後もリサイクルを可能にすることです。ニッケル含有材料は耐用年数を迎えた後も価値を有し、容易に取り出せ、費用もそれほどかからず、かつニッケルの特性を失うことなく、新たに高品質の材料として生まれ変わることが可能です。ニッケルを回収し循環させることには、経済的、法的、倫理的理由があります。資源をより効率的に使用する経済に向けて寄与していると言えましょう。

ニッケルはフードロスを低減することにも貢献しています。例えば、食品加工、製造、貯蔵、配送等、どの過程を見ても、ニッケル含有ステンレス鋼は強度が高く、簡単に洗浄・殺菌ができる機械や設備に使用されています。衛生に貢献することで、最終的にはフードロスを低減させているのです。

ニッケル協会の活動

ニッケル協会は、政策担当ならびに仕様担当者等に情報提供し、ニッケル含有材料の利点を理解してもらい、持続可能性の観点から充分な情報に基づいた材料選定をしてもらえるよう努めています。ニッケル協会は産業生態学分野での学術的研究を支援し、またニッケルやニッケル含有製品のライフサイクル管理など独自の研究を行っています。

SDG14:海の豊かさを守ろう
(海洋と海洋資源を持続可能な開発に向けて保全し、持続可能な形で利用する)

ニッケルができること

ニッケル含有材料は海運産業にとって有害性のある排気を低減するサポートと提供しています。マリンスクラバー(臭気や粉塵を補足し、排出ガスを浄化する機械設備)はニッケル合金やニッケル含有ステンレス鋼でできており、大型海洋航行船から大気に排出される排気内の硫黄分を最小化するのに貢献しています。銅ニッケル合金は海洋微生物を簡単に船体から除去し、有害性のある防汚塗装の必要性を低減してくれます。

ニッケル協会の活動

ニッケル協会は、科学研究を実施し、専門家らの査読を経た上でその結果を公表することで、環境を適切に保護するための環境基準の制定ならびに温帯・熱帯におけるリスク評価に貢献しています。


強度、展性、高い耐食性ならびに優れたエネルギー密度と容量など、ニッケルの持つ特性により、エネルギー供給、交通、食品、衛生的な水道網などを実現する上で、ニッケル含有材料が重要な役割を果たすことができるのです。これらの重要分野が使用材料に求める性能は、過酷な環境下でも耐え得るものであるため非常に高いものである中、ニッケル含有材料は引き続き持続可能な経済と社会に貢献し続けます。そして耐用年数を迎えた後にはリサイクルされ、若干のエネルギーをかけて新たに高品質材料として生まれ変わるのです。

このページのトップへ