作業環境の安全管理

ニッケルの用途が多種にわたることから、ニッケルとその化合物、合金に暴露する可能性は多様で多岐にわたっている。職場での暴露の場合、毒物学的に問題となる主要暴露経路は吸引および、それより程度が低いが皮膚接触です。

ニッケル生産には採掘、粉砕、濃縮、製錬、転換、冶金学的プロセス、精錬などの操業が含まれ、こうした生産活動に従事する労働者は採掘する鉱石の種類に応じて、さらに中間体や一次ニッケル製品を生産するために用いるプロセスに応じて、多様なニッケル鉱物やニッケル化合物に暴露します。ニッケル生産産業での暴露は中程度に可溶性や不溶性のニッケル形態であるのが一般的です。

ニッケル生産産業で可溶性ニッケル化合物が発生するのは、多くの場合、湿式冶金作業です。ニッケルを使用する産業部門での暴露は、生産する製品によって異なり、可溶性および比較的に不溶性のニッケル形態があります。

以前は特定の生産作業における職場での空気中のニッケル濃度は非常に高いものだと考えられており(>10mg Ni/m3)、Ni3S2焼結(マット焼結とも呼ばれる)については100mg Ni/m3という高い暴露値が推定されていました。しかし最近(1960年代以降)の推定値はそれをはるかに下回り、現在の測定値は平均で一般に<1mg Ni/m3です。ニッケル使用産業におけるニッケル種への暴露は、従来から生産産業よりはるかに少なく、平均の推定値は通常1mg Ni/m3をはるかに下回っています。

なお、日本語版「健康管理ガイド 第3版」では、日本語版追補として、「日本におけるニッケル化合物の規制(平成21年4月1日施行)について」の資料が掲載されています。

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