化学品の分類および表示に関する世界調和システム(GHS)

化学品の分類および表示に関する世界調和システム(GHS)は国際連合によって制定された国際的な制度です。分類と表示に関して各国でばらばらに設定されている既存の各国標準を世界共通の基準に切り替えるために設けられました。

この制度は、有害性の種類による化学品の分類に取り組み、表示と安全データシートを含む、調和のとれた有害性の伝達情報を提案するものです。 化学品の取り扱い・輸送・使用、人の健康と環境の保護を向上させるために、物理的有害性と有毒性に関する情報が確実に周知されるようにすることを目的としています。また、取引を促進させるために、国家・地域・世界レベルの化学品に関する規則や規制を調和させる基盤にもなっています。

GHSは、自らの標準を世界レベルに調和させたい国や地域が任意で導入できる制度です。豪州、カナダ、EU諸国、日本など、すでに採用している国、あるいは制度導入や特定の部分を自国の法制に採用する取り組みをしている最中の国が多々あります。さらに、GHSの分類基準は、危険物輸送向けの国際的な分類システムの基礎にもなっています。

ニッケル協会は、ニッケルの特異性を認識した健全な科学に基づくニッケルおよびニッケル化合物の適切な分類を奨励します。

またニッケル協会は、法令遵守についても会員企業をサポートしています。ニッケル協会は、ニッケル産業の主要地域におけるGHS導入状況に関する概要をまとめたオンラインのデータベースを会員企業に提供しています。これには、ニッケルとニッケル化合物の分類に関する現状とともに、これらの物質の今後の分類に関する提案も反映されています。

正確な分類はどの化学品管理制度においても最重要事項です。しかしながら、規制上のリスク管理に関する決定は分類のみに基づくべきではありません。というのも分類だけでは、リスクを呈する物質の使用実態があるのか、すなわち、実際に措置を講じる必要があるのかという点が考慮に入らないからです。このことから、適切な分類が意図せぬ結果につながらないようにするためにも、ある国の法律における分類の規制結果が他の国の法律に自動的に適用されるべきではない、あるいは、少なくとも例外を認めるべきであるというのがニッケル協会の提言です。

このページのトップへ