他の方法では実現できない複雑な形状や特性を持つ部品の製造には、鋳造が多く用いられます。ニッケル含有材料も例外ではありません。多くの場合、鋳造合金の組成は鍛造合金と同様ですが、鋳造プロセスに適合すべく調整を加えています。この調整は機械的特性や耐食性に反映されるため、その特性は鍛造合金と必ずしも同じではありません。部品に必要な性能を実現するには、特に鋳造プロセスに注意を払う必要があります。
鋳造した耐食ニッケル合金は化学産業やその関連産業でポンプ、バルブなどの部品として用いられています。
耐熱鋳造合金は化学産業や石油化学産業のほか工業用炉に用いられています。
ニッケル含有鋳鉄は、耐食性によって海水ポンプに用いられているほか、耐摩耗性によって鉱石の粉砕などにも用いられています。
単結晶と方向性凝固のどちらの超合金鋳物も、ガスタービンの最高温部位にあるタービンブレードに用いられています。タービンブレードが巨大な引張応力を受けた場合に生じる脆弱性は横断方向の粒界が原因でありますが、これらの超合金鋳物にはそれがありません。合金組成は製造プロセスと操業条件の双方に合わせて細かく適合化することができます。