私たちが日常生活で当然のように利用し慣れ親しんでいる物の多く、たとえば食品、清浄な飲料水、医薬品、熱と電力、建築物、輸送、エレクトロニクスなどは、その生産や性能をニッケル含有材料に依存しています。「社会におけるニッケルの貢献」はこうした社会における利点をさらに深く掘り下げ、ニッケル含有材料に代わる適切な代替材料が存在しないケースがいかに多いかを示しています。統計を見ても、ニッケルが例えばヨーロッパにとって確たる重要性を持つことは明らかです。
こうした利点は、たとえばニッケルが生み出す雇用や付加価値として数量化することができます。さらにその利点はニッケルの生産だけにとどまらず、バリューチェーンを通じて続いていきます。たとえばステンレス鋼製の上水道管を使用することは、水道管製造のための雇用のみならず、上流でのステンレス鋼製造やニッケル生産にも雇用を生み出します。社会的側面から見れば、水質の維持や設備の長寿命によって消費者は恩恵を受けます。最終的に水道管は耐用年数終了時にも大きな価値が残っているため、リサイクルを促進します。
ニッケル含有材料の使用により生まれる価値の詳しい例は、「ニッケル誌」の項目を参照。
Weinbergグループが2008年に欧州連合(EU)で実施した「ニッケルの社会経済的研究」は以下の結論を示しました。
※深刻な性能低下や大幅なコスト増加をともなうことなくニッケル含有材料に代替することが不可能な部門を「ニッケルに決定的に依存する」と特定した。
以上の記述は、Weinbergグループが2004年に報告した詳細な研究に基づくもので、この研究はヨーロッパにおけるニッケルの価値を国別で明らかにしています。
フランス、ドイツ、イタリア、スペイン、イギリスに関する簡略な更新を2008年に行いました。
ニッケルは中核的な技術のいくつかを実現可能にする特に重要な役割を担っています。以下に関する詳細な研究が行われています。
以上の用途で注目すべき特徴の1つは、ニッケルが技術革新的に貢献してきたという点です。言い換えれば、ニッケルが技術革新のプラットフォームとなることが多いのです。