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「NICKEL」誌 Vol.15,No.2(1999年12月号)抄訳





英語版 

1999年12月号内容

  1. 無駄にしないで by Patrick Whiteway  Jump
  2. ヘリコプターを甲板に安全確実に止め置く:機械的制止系は強度があり、耐食材料で作られねばならない  Jump
  3. Ni合金で供給を確実に:Ni合金クラッド天然ガス輸送管  Jump
  4. 自動車排気ガスを減少しリサイクルを助ける  Jump
  5. ステンレスはどのようにして解決の一要素となり得たか:ステンレス鉄道車輌の安全性  Jump
  6. リーダーに続け:高Ni合金の射出成形 by Dr.Anthony C.Hart  Jump
  7. リサイクリングがより容易になった:Niの添加は2種の新Be-Cu合金の製造において、Snめっきされた屑の利用をより容易にする   Jump  
  8. よりクリーンに保つ by Virginia Heffernan  Jump
  9. 水道本管の改装:イタリアの時代遅れの水道本管を溝なし技術を用いるステンレス管に取り替え by Dr.Ing.Luciano Fassina  Jump
  10. 信頼できる操作:ステンレスはロータリードラム濃縮槽の稼働時間をより長くし、より効率的操業にする  Jump
  11. 微生物も薬品も存在しない:誰も飲料水中に微生物―特にLegionella pneumophilaとして知られる菌株―の存在を望まない  Jump
  12. 漏水をより少なく、コストをより低く:波形ステンレス管は高価なジョイント数を減らし、コストを半減する 土井一朗、NiDI 東京事務所長  Jump
  13. 低い維持費:Ni系ステンレスで下水処理場はより高い稼働率を得る Jump
  14. 60才の桟橋は今でも頑丈だ Jump
  15. 高層建築物の洗浄  ステンレス外装の高層建築物のクリーニングは、神経を使うだけでなく、適切なクリーニング製品、材料及び細部への注意が必要である。 Jump
  16. NiDI技術資料  Jump

1 無駄にしないで by Patrick Whiteway   Top

 疑いなく次の世紀はこの世界を想像しだすことさえできないように、変えるだろう。しかし、世界の人口は減少する兆候を示さないこと、天然資源の逼迫の度は強くなるばかりであること、そして21世紀で最も望まれる天然資源は水であろうという予測は、間違いない。

 この問題は先進国でも、又、発展途上国でも、同様に真剣に考えられている。将来の需要を満たすために、多くの国は飲料水の配水と廃水処理に用いられるインフラに何 10 億ドルもの投資をしている。中でも主な問題は、汚水の自然環境への放出と漏水による水道のロスである。両方の場合において、オーステナイト系ステンレスは重要な長所がある。

 本号の Nickel 誌で、どのようにステンレスが水道水のロスを減少するために用いられているか及び廃水処理設備の効率的操業にいかに貢献しているかを強調している。

 英国では約 US$150 億が次の 15 年間に廃水処理に費われるだろう。中国では US$150 億以上が次の 10 年間で費われるだろう。耐久性があり、維持費のかからないインフラを建設するために、材料技術者は下水散布のガントリーから簡単な留め具まで全てのものに Ni 含有ステンレスを選択している。

 ますます多くの都市は下水処理及び廃水処理部門の能力が不足し、新しい操業者は施設ができるだけ効率的、経済的及び耐久性であることを要求する。製品寿命の最後におけるステンレスのライフサイクルコストの優位性と残存価値が、ステンレスを選択材料にする。

 オーステナイト系ステンレスの利点の中で、曝気及び攪拌されている水中における性能の良さがある。オーステナイト系ステンレスは又、塩素を含む各種の化学薬品添加剤に対する耐食性が良い。実際、9%Ni を含むS30400 ステンレスは Cl 濃度約 2 ppm までの水に使用でき、12%Ni を含む S31600 ステンレスは 5ppm まで使用できると考えられている。

 技術者はパイプからの漏水による水のロス防止への関心が高い。そしてここで再びステンレスが大きな優位性を示す。例えば 1980 年代、東京の都市計画者は各住居への配水管にステンレス管を用い始めた。その結果、漏水率は 40% から 10% に減少し、かくて新貯水池や新水資源を見つける必要がなくなった。

 もう一つの利点は、ステンレスは優れた耐エロージョン腐食性を有するから、ダムと貯水池のポンプ場で典型的に起こる乱流を処理できることである。

 先進国で配水インフラと廃水処理設備の改造を始めるにつれて、又、発展途上国がこれらの新プラントを建設するにつれて、ステンレスの使用量は著しく伸びるであろう。設置されたステンレスの配水ラインの大部分は現在は欧州と日本であるが、米国でさえも径 250mm のステンレス管が水道配水管に指定されつつある。

 この急速に発展しつつある21世紀の産業において、あなたを援助するために、NiDI はステンレスの飲料水及び廃水処理の設備とサービスの供給業者の名鑑を編集中である。もし、あなたがこの名鑑に掲載を希望されるなら、NiDI の北米の水コンサルタント Stephen Lamb に電話、Fax、Eメールで接触して下さい。

2 ヘリコプターを甲板に安全確実に止め置く:機械的制止系は強度があり、耐食材料で作られねばならない
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 ゆれる外洋で船を基地とするヘリコプターを扱う系は、高い機械的応力と腐食性海水のひどい条件に耐えなければならない。

 カナダ、オンタリオ州の Indal Technologies Inc.(ITI)は、フリゲート艦と駆逐艦用に製作した中央断面がC形状の甲板軌道用材料に、析出硬化型 S45000( 5〜7%Ni 含有)ステンレスを選んだ。これらの軌道はヘリコプターに付けられている安全装置をガイドしてヘリコプターを動かし、格納庫から出し入れする。

 S45000 製の軌道は高い強度対重量比を有し、一般に通常の起道系より 60〜70% 軽量である。S45000 は軌道内を移動する急速停止装置の摩耗を阻止し、高い降伏強度を示す。この軽量軌道は Sea State 5 の状態(北大西洋で波高 2.5〜4m を意味する)までの稼動ヘリコプターにより生ずる負荷に耐えるように作られている。S45000 は又、耐応力腐食割れ性があり、代表的な甲板鋼と同じ熱膨張係数を有する。

 軌道はC形状の基準寸法の形鋼に押し出され、次に応力が除去され、精密寸法に合うように機械加工される。次に形鋼は溶接ならびに被覆され、最終組立前に 620℃で約1h 焼鈍される。

 軌道の断面の大体の寸法は高さ 150mm、幅700〜800mm で、代表的な設置された長さは33m である。各ユーザの装置と操業上の要求により、重量は 145〜200 kg/m である。押し出し品の肉厚は 20〜40 mm に変化する。単一軌道系の重量は 3.1〜3.6t であり、2機のヘリコプターを積載するより大きな艦船用の複線軌道は 5.9〜6.4t である。

 現在までにITIは、豪州とスペインを含む4ヶ国の船に対し、17 ケの単一軌道系と4 ケの複線系の建造に、80tの S45000 を用いた。

3 Ni合金で供給を確実に:Ni合金クラッド天然ガス輸送管   Top


 Shell Philippines Exploration BVによる比島における Malampaya スイートガスプロジェクト用輸送管のクラッドに Ni 合金を用いる決定において、供給の確保が重要な役割を演じた。

 3発電所にガスを途切れずに供給することが、Ni−Fe−Cr 固溶体強化合金 NO8825 を選定した会社の決定において、最も重要な要因であると思われる。Ni を 38〜46% 含むこの特殊合金は、径 405mm の海底輸送管の内側をクラッドするのに用いられている。

 この選定をしたプロジェクトチームは、南ルソンの Batangas の3発電所へ硫化水素含有量 200ppm 以下のスイートガスの輸送に対し、それは最善の選択であると言う。

 2002年にこれらのプラントが操業を開始すると、温室効果ガス排出の減少に貢献するだけでなく、輸入の石油と石炭への依存を減少して比島を助けるだろう。

 クラッド管は日本の室蘭港にある日本製鋼所で製造中である。このプロジェクトは径 405mm の輸送管 60km を必要とし、Ni770t が必要である。US$55×106 の注文の全重量はパイプ12,000t になるだろう。

4 自動車排気ガスを減少しリサイクルを助ける   Top


 1200℃まで機械的強度と耐食性を併せ持つ Ni 合金は、環境保護産業及び各種の方面でますます用いられつつある。

 例えば、代表的な自動車触媒コンバータの触媒担体は普通 Fe / Cr / Al 合金で作られる。しかし、Houston、Texas にある Krupp VDM のD.C.Agarwal とMarkham、Ontario にある Krupp VDM Canada の Helmut Klein によれば、Ni 合金 N06025 は好評を得つつある。1999年10月 Agarwal はオタワにおける NACE International の北部地区会場で講演し、厚さ30μmのN06025 はいくつかの触媒コンバータで用いられていることに言及した。

 同じ合金が主要米国化学会社で、廃触媒から Ni を回収するためのか焼炉の建造に用いられてきた。

 “N06025 はよい熱疲労強度を有し、繰り返し熱応力に耐えることができる。それは非常に剥離し難い密着した酸化物層を生成する。それは又、耐熱オーステナイトステンレスの費用対効果の良い代替であると考えられる”と Agarwal と Klein は論文で述べている。N06025 は 1990 年代初期に利用できるようになってから熱処理業界で各種の応用に用いられてきた。

5 ステンレスはどのようにして解決の一要素となり得たか:ステンレス鉄道車輌の安全性   
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 全ての金属は曲げられるとより強くなる。しかし、ステンレスはより早くより強くなる。この性質が人命を救うことができた。

 1999 年における二つの恐ろしい列車衝突−一つは8月にカルカッタの 500km 北にある小さな町 Gaisal において、そしてもう一つは 10 月ロンドンで−は世界中でより安全な鉄道客車の設計と製造が必要であるという意識を高めた。

 S30103 と S30153 のようなオーステナイト系ステンレスは、オーストラリア、日本、北米において鉄道車輌建造の確立された材料となっており、最近イタリア、ポルトガル、スウェーデンにおいても導入されたが、世界の他の部分ではまだステンレスの多くの安全上の利点を理解していない。

 ステンレス製鉄道車輌は、これら二つの最近の衝突において損傷を完全に防止することはできなかったであろうし、又そもそも衝突の防止はできなかったであろうが、ステンレスは本当にいくつかの考慮に値するはっきりした長所がある。

 鉄道車輌にオーステナイト系ステンレスを用いる著しい利点は、それは曲げられるとより強くなる異常な性質を有することである。これは他の材料よりもより多くの衝突エネルギーを吸収できることを意味する。又、ステンレスはその靭性のために破壊せずにかなり衝撃に耐えることができる。ステンレスは衝撃点から漸進的にしわくちゃになるから、損傷の危険は減少し、変形部分はしばしば除かれ、取り替えられる。

 現在の自動車と同様に、現代の客車の端部はできるだけ多くのエネルギーを吸収するように設計されるのが実際的である。典型的な必要条件は変形の最初の1m で1MJ から3.5m 以上で 8.5MJ まで変化する。

 これがステンレスが他の材料よりも明らかに優れている所である。試験結果は、オーステナイト系ステンレスは炭素鋼やアルミよりも強いだけでなく、変形時に炭素鋼の2.5倍の多くのエネルギーを吸収できることを示している。従って、ステンレスは衝突時に大量のエネルギーを吸収する端部を有するより強くより安全な乗客のコンパートメントを作るのに用いられている。

 その優秀性は 1975 年オーストラリアで示された。炭素鋼の列車を引いていた AB 級ディーゼル機関車は、メルボルンの南東にある Frankston の丘を下っていた。ブレーキが故障し機関車は丘のふもとの駅に停車していた郊外列車の背後に突っ込んだ。停止していた列車は日立製のステンレス車輌より成っていた。最初に衝突した後部のステンレス車輌は、B級機関車の頂部に乗り上げ(本文写真参照)、機関車は下に入り込みステンレス車輌を持ち上げた。死者はなく乗客は僅かに軽傷しただけで脱出した。

 炭素鋼の代わりにステンレスを用いるその他の利点には以下が含まれる。火災時に十分強度を維持する能力、より軽量な設計ができるので必要エネルギーを減少する可能性、より低い維持費と操業費による競争力のあるライフサイクルコスト及び耐食性である。実際、ステンレスの耐食性は非常に良いので、カナダの VIA Rail は最近、1940 年代と 50 年代に作られた 200 のステンレス車輌を改造し、再使用した。

関係資料:無料でNiDIより入手可能

  1. Impact Performance of Model Spotwelding Stainless Steel Structures, 1998  NiDI Reprint Series No.14046
  2. Stainless Steel for Mass Transportation ,1997 AISI publication No.9018


6 リーダーに続け:高Ni合金の射出成形 by Dr.Anthony C.Hart   Top

 プラスチック産業で既に実用化されている射出成形は、金属加工業者の間で人気を得てヒットしつつある。

 Palo Alto、Calif.のStellex Microwave Inc.は高周波マイクロウェーブパッケージング構成部品の高Ni合金部品製造に、金属射出成形の使用を増やしつつある。

 金属射出成形はプラスチックとワックスとの混合物より成るバインダーに懸濁させた金属粉末による製造方法である。これらのバインダーは溶融され、高圧で型に射出される。成形後、有機物バインダーは除去され、残った金属部品は焼結される。焼結は金属の溶融点に近い温度で水素雰囲気炉中でなされる。焼結品は通常の塑性加工材に非常に近い物理的性質を有する。

 最終構成部品が信頼できる高周波性能に対して必要とされる厳しい公差に合格するのを確実にするために、これら2工程の間の収縮に対する精密な縮み代が決められる。更に、機械加工で製造するのは非常にコストがかかるカーブ又は多軸を特徴とする部品を製造できる。

 Stellexは約50%Niを含む Ni-Fe 合金の金属射出成形部品を製造している。Fe 粉末と Ni 粉末を混合することにより、会社は必要な熱膨張レベルを得るために、組成を調節できる。これによりアルミナ基地上に、この合金部品をうまく接合させることができる。この技術は Stellex により小さな成分ミキサーからミサイル誘導サブシステムのチャンネルモジュールまでの範囲の応用に用いられつつある。

7 リサイクリングがより容易になった:Niの添加は2種の新Be-Cu合金の製造において、Snめっきされた屑の利用をより容易にする
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 2種の新合金 C17450 と C17460 は Ni を添加して作られる。Ni は Co と同様に、C17200、C17500 及び C17410 のような他の Be-Cu 合金に共通の第3元素である。Be-Cu-Co 合金で得られる効果と比べて、Ni は Be-Cu 合金に熱処理後、少しより高い電導度を興える。これらの合金は電気及び電子のコネクターとして用いられるから、電導度は重要な性質である。

 Sn めっきされた Be-Cu 屑は工業用 Be-Cu-Co 合金の製造に用いられる。Sn は Cu の固溶体に入り合金の電導度を下げる。それ故、従来はこの屑は再溶解される前に脱 Sn されていた。

 Ni を用いることにより屑は脱 Sn する必要がなくなった。Ni 含有合金は Sn が存在しても十分な電導性がある。Ni はこれら合金のコスト低下を可能にするものであったと Cleveland , Ohio にある Brush Wellman Inc.の Shelly Wolf と共にこの合金を発明した John Harkness は言う。Elmore ,OhioのBrush Wellman の工場の新ストリップミルは又合金 C17450 と C17460 のコスト低下に役立っている。

 C17450 は公称 Ni 含有率 0.8%だが、C17460は1.2% Ni を含む。Ni は結晶粒成長の制御と強度及び電導度を増すために用いられる。第3元素のNi或いは Co は又、合金の老朽化の傾向を遅らせる。

 C17450 は高い雰囲気温度或いは高い電流誘起温度が問題である、自動車エンジンと電力回路の端子に典型的に用いられる。


8 よりクリーンに保つ by Virginia Heffernan   
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 その名前に背かないクリーンルームを設計し供給することは、マイックロチップがずっと小さくなり、メーカーが国際標準を採用するにつれ、一層重量になりつつある。

 ごみの粒子がマイクロチップの複雑な表面に降下付着するのは、小人国で小惑星が大都市にぶつかるのに相当する。ライン幅が小さくなるにつれ、チップはこの破壊力による傷を受け易くなり、生産性の損失の可能性は増す。

 それが半導体産業が何億ドルもかけて生産ラインにダストを近づけないようにする理由である。半導体を製造するヘクタール規模のクリーンルームでは、作業者は皮膚、毛髪及びその他の潜在的有害粒子を出ないように体を包む念入りに作った保護衣を着用し、一方、精密な換気系が連続的に清浄空気を送り込んでいる。汚染制御を確実にし、清浄化を容易にするために、電解研磨したステンレスはクリーンルームの設備の選択材である。

 例えば、カリフォルニアにある Terra Universal Inc. は、作業ベンチから衣類ハンガーまで全てを 1.5mm 厚の電解研磨した S30400 ステンレスで供給する。その市場の約85% は電子産業であり、残りは包装と製薬のような他の産業向けである。競争会社の NTA Industries Inc. も又、クリーンルーム用の生産ラインを持っている。それは S30400 ステンレスの管で作られた更衣室の机と衣類掛けが含まれる。

 クリーンルーム製品市場は世界中で成長しつつあると Terra の国際営業部長 Carl Higgins は言う。マイクロチップその他の製品がより小さくなるにつれて増大する汚染による損失のリスクを考慮すれば、その成長は理解できる。

 米国の市場調査会社 Dataquest によれば、半導体産業は近年、供給過剰とアジアの危機のために厳しい時代に落ち込んでいるが、今年は 12.9% の成長が期待される。この成長は2〜3年は続き、2002 年にピークとなるだろうと Dataquest は言う。

 Higgins はクリーンルーム市場はミクロ電子産業と製薬産業の両方において、特に東欧で強いと言う。ISO により立案されたクリーンルームの新標準の差し迫った導入の結果として、その市場は又、変化しつつある。標準が新国際標準と著しく異なる国々においては、クリーンルームは ISO の要求に合うように改装されなければならないだろう。

 ISO14644 と呼ばれる新標準は 34 ヶ国における 1,000 人以上のボランティアによる、5年間の作業によりできた。それは世界のどこのクリーンルームに対しても、共通した品質レベルを興えるように設計されている。

 他方、クリーンルームと異なり、“ミニ環境”−マイクロチップを収めるシリコンウェーファーを囲む無汚染物質のポッド−の発達は、従来のクリーンルームを提供する製品市場を脅かすだろう。

 ミニ環境は何年か後に、マイクロ電子産業の標準となると期待される新しい 300mm ウェーファーの加工に適している。より大きなウェーファーは 200mm ウェーファーよりも多くのチップが取れるので、コストは低減されるが、クリーンルームにおいて空気で運ばれる分子汚染物をより受け易くなる。ポッドによりメーカーはクリーンルームのその他の部分の清浄度の標準を緩和でき、作業者は不快な保護衣を脱ぐことができるだろう。

9 水道本管の改装:イタリアの時代遅れの水道本管を溝なし技術を用いるステンレス管に取り替え by Dr.Ing.Luciano Fassina
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 水道本管がアスベストセメント管か鋳鉄管より成る古い町、特に欧州においては、漏水によるロスは 40%にもなる。近年、これらの地域における水の需要は増大したので、土木技術者はいかにして時代遅れの管を経済的に取り替えるかという問題に直面した。

 これらの地域の自動車と歩行者の交通は、しばしば混雑するので、技術者は新しい地下管を最少の溝切りで敷設する方法を考案した。

 1995 年にイタリア Turin にある Azienda Acque Metropolitane(AAM)は、丁度このような溝なし技術を開発した。Techinox 系と呼ばれるこの技術は、今やイタリア中の水道本管の改造に用いられつつある。

 その技術は、油圧ピストンで長い管を古い本管の中に連続的に押し入れることが含まれる。S30400 ステンレスは、容易に古い本管に滑り入り、耐食性があり、十分に強くて地圧や地震に耐え、50 年以上の期待寿命があるので選定された。

 管の全長に亘つて剛性を増し、柔軟性をつけるために、2ケの管を取り巻くチャンネルを両端から入れて 375mm の個所で管壁と一体化した。これらのチャンネルは蛇腹として働き、管を曲げられるようにする。壁厚は 2.5〜3mm である。ステンレス管は現地で自動 TIG 溶液で結合される。

 この技術を用いてAMMは直径 300〜750mm のステンレス管を 10km 敷設した。個々の管の長さは1.5〜3mで、現在までに挿入された最長の配管の長さは 1,000m である。

 Techinox は溝切りを必要としないから、管が挿入される制限作業区域(本文写真参照)は別として、作業は自動車の交通を妨げない。

 Turin の中心で水道本管のステンレスへの転換は 1995 年に実施された。1.5m 長さの管が地表下の 2.6m×2m の室から古い本管に挿入された。しかし Padua では、1999 年に表面に開口した作業区域から、より小さい規模の本管更新プロジェクトが実施された。この例では、6m長さの事前溶接されたステンレス管が古い本管に挿入された。

 この2プロジェクトを直接比較すると、所興の長さに対し、管は Turin よりも Padua ではより速やかに敷設できたことが示される。

 AAM によれば、Techinox はプラスチック管を含め従来の代替品よりもより経済的である。更にステンレスのおかげで AAM は少なくとも 50 年の寿命を保証する。

10 信頼できる操作:ステンレスはロータリードラム濃縮槽の稼働時間をより長くし、より効率的操業にする   
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 北米市場に供給している少なくとも3社の1社である米国の Lake Bluff,Illinois にあるWaterlink Hycor Corp によれば、廃水処理におけるステンレス製ロータリードラム濃縮槽に対する需要は大きくなりつつある。

 効率的に操業するために、都市の廃水処理施設は埋め立て前の貯蔵・輸送する下水汚泥量を減少せねばならない。一つの選択は汚泥分解の前に濃縮工程に入れることである。これは分解槽の処理能力を増大して有効寿命を延ばし、新しい分解槽を不要にする。  Watelink のロータリードラム濃縮槽は信頼できる操業記録を有し、これがこの濃縮槽をベルトフィルタープレスと追加貯槽の経済的な代替装置にしたと生産部長 Bruce Hugo は言う。

 この濃縮槽は S30400 ステンレスで製造されているために、厳しい環境において多年に亘り信頼して使用できる。特殊な用途には S31600 ステンレスが用いられる。

 Mt.Pleasant,South Carolina の水道・下水道部は Rifle Range 施設に Waterlink の RD300 型濃縮槽を用いている。0.8〜1%固体を含む生の汚泥は8%固体まで濃縮し輸送され、更にベルトフィルタープレスで埋め立てに必要な 15% 固体に脱水される。

 Waterlink の濃縮槽は汚泥濃縮に高分子凝集剤と低せん断凝集槽による凝集と、次に高性能ロータリードラムスクリーンによる脱水の2段処理法を用いている。その結果、1,500/分の高い流入速度において固形物の高い捕集率 98% が達成された。

11 微生物も薬品も存在しない:誰も飲料水中に微生物―特にLegionella pneumophilaとして知られる菌株―の存在を望まない  Top

 微生物を除去する一つのますます評判が高くなりつつある方法は、紫外線の致死量をあてることである。この型の電子放射は微生物の核酸に光化学的変態を超してレプリカを作る能力を減ずる。

 この分野のリーダーであるTrojan Technologies Inc. によれば、水を滅菌するこのハイテク方法は非常に効果的なので、この装置の需要は 1999 年に約 35%増加した。カナダ、米国、欧州、英国に事業所のあるこの会社は、都市の廃水処理場に紫外線装置の75%を納入している。

 長い耐用年数を保証するために、紫外線装置を支えている全上部構築物は S30400 ステンレス製で、濡れている表面は全て S31603 製である。両方とも耐食性から選定された。これらの構成要素に炭素鋼を用いると、酸化第一鉄のような腐食生成物が紫外線照射を抑止する。その上、プロジェクト技師 Allan Gates によれば、いくつかの構成要素の詳細なライフサイクルコスト分析から、ステンレスはこの応用に対し最も費用対効果が良い材料であった。装置は5/分の低流速から数 100×106/日まで処理できる。

 Dymchurch,U.K.と La China,Spain の町では最近それぞれ 8.6×106/日と 25×106/日の処理能力のある Twjan UV 4000 系を設置した。


12 漏水をより少なく、コストをより低く:波形ステンレス管は高価なジョイント数を減らし、コストを半減する 土井一朗、NiDI 東京事務所長   Top


 東京都は公式に広範囲な地下の水道管網の新しい部分に対し波形管を採用した。管とその設置のコストを著しく下げるこの動きは、日本で最大の都会の外側の地域においてもステンレス水道管の導入の後押しをすると期待される。

 1980 年に東京都水道局は鉛の水道管をステンレス管に取り替える大規模な事業を始めた。その計画は現在、東京における全ての水道引込管の 90% がステンレスに代替されるに至った。

 しかし、従来の真直なステンレス管はジョイントにカップリングやエルボのような多くの部品を必要とする。これは設置コストを増し、高価な漏水の危険を増大する。それ故、東京の外側の地方の水道局は、配管系をステンレスに切り替えるのに乗り気でなかった。

 波形ステンレス水道管の使用は、コストを著しく下げる。その管は手でどんな角度にもたやすく曲げられるから、容易に障害物を迂回して設置でき、ジョイントの必要を減少する。4m長さが利用できるので、波形管は必要なジョイント数を著しく減らし、いくつかの場合では全くそれらを不要にする。これは水道管設置の時間を減らし、それ故設置コストも下げる。

 波形ステンレス管は 1982 年昭和ラセンにより開発された。東京都水道局はそれを数年間試験し、その性能を評価した。1998 年 10 月に水道局は損傷した水道管の取り替えに、波形ステンレス管の使用を開始した。

 そうしている間に、日本水道協会はステンレス協会及び東京都水道局と共同で、波形ステンレス管の規格を確立した。波形ステンレス管の取り替えで得られた適切な実地試験から、水道局は 1999 年4月に新しい水道管設置にこれを用いることを開始した。


13 低い維持費:Ni系ステンレスで下水処理場はより高い稼働率を得る   
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 英国で最も重負荷の下水処理場の一つである Huddersfield 廃水処理場において、長時間連続操業維持の問題を解決するために、ステンレスが使用中である。

 この施設は約 17 万人の家庭や事務所からの下水を処理する。しかし、もしその地方の工業からの負荷を考慮に入れると、処理される“相当人口”は約 79 万人である。

 スクリーニングと1次沈降に続き、下水の生物学的処理が約 25,000m2 の散水床で起る。元の鋼製ガントリ型散布装置は被覆の破壊、腐食及び機械的破損で困っていた。

 Yorkshire Water Research & Process Development の研究によれば、下水処理場のこの部分における各種の保守の問題のために、稼働率は僅か78%であった。研究はもし腐食がチェックされないままなら、機械構造物は破局的に破壊するだろうと結論づけたとコンサルタント Chris Quinn は言う。

 それ故、新しい下水散布機が設計された。スラッジと流体における各種の塩化物レベルでの腐食速度が予測され、これに基づいて散布機の主要構成部分は 10〜14% Ni を含む S31600 ステンレスで製作することが決定された。アーム支持ロープのアンカーとなる“A”フレームは、S30400 ステンレスで作られた。この設計は稼働率97%以上と維持費はその構造物の予測された 20 年の寿命を通して 50% の節約となることを期待している。

 ステンレスの構成部分の製作、特に溶接は高い水準でなされた。溶接による酸化即ち“加熱着色”は注意深く除去された。

 この装置は1年半稼働しており、保守と稼働率に関しては、期待通りの性能を示している。

関連技術資料

  1. . Application for Stainless Steel in the Water Industry  by The Steel Construction Institute , Avesta Sheffield and NiDI, 54頁, £10   The Water Research Council, England
  2. Guidelines for the use of Stainless Steel in Municipal Waste Water Treatment Plants   NiDI Technical Series No.10076 ,無料 by Arthur Tuthill and Stephen Lamb


14 60才の桟橋は今でも頑丈だ   Top

 海洋環境において、北米で最も耐久性のあるコンクリート構造物の一つは、60 才のコンクリート桟橋である。メキシコの Progreso にあるそれは 8.6%Ni 含有の S30400 ステンレスの鉄筋で強化されている。現在それは何ら重大な腐食問題はない。

 1998 年12月Ramboll Consulting Engineess と Planness of Denmark は、その桟橋を検査し12頁の報告を出した。1937年 と 1941 年の間に建設された 2,100m の長さの桟橋は、殆んど劣化の徴候はなく、今なお非常に良い状態であると報告している。一方、隣接の炭素鋼鉄筋で作られた桟橋は約30年前に事実上消失した。

 高温多湿の海洋環境とコンクリートは比較的高い多孔質の石灰岩骨材で作られたために、全部で 220t の径 30mm のステンレス鉄筋がこの最初の桟橋に使用された。

 “何ら重要な日常の保守活動をしなくとも我々は残存有効寿命は少なくとも 20〜30 年と見積る”と Ramboll は結論する。

15 高層建築物の洗浄  ステンレス外装の高層建築物のクリーニングは、神経を使うだけでなく、適切なクリーニング製品、材料及び細部への注意が必要である。   Top

 多くの材料と同様に、ステンレスはクリーンな時に最良の性能と外観を示す。即ち、クリーンなことは美的な理由と最大の耐食性を出させるためにも重要である。

 もし腐食性物質を含むほこり、汚れ及びしみが表面に残っていると、腐食が起りうる。それ故、日常のクリーニングをすることをステンレスの外観を保つために勧める。

 それをするのは比較的容易であり、他の構造材と異なり、適当な製品による定期的なクリーニングは仕上げの外観を長期に亘って変えないだろう。

 ルーズな埃はきれいな水ときつくない洗剤で洗い落とす。或いは5%アンモニア水を用い柔かいきれいな布で洗う。これはきれいな水で洗い落とし、次に拭くかゴム雑巾で押しぬぐう。埃をとるのに柔かい針毛ブラシを、又、油汚れを除くのに油除去剤を用いることができる。クリーニング製品は塩化物やざらざらした研磨剤を含んではならない。いくつかの家庭クリーナーは余りに強いので避けるべきである。

 もし数年間放置していても、ステンレスは通常もとの外観を取り返すことができるが、より強い薬品を用いたクリーニングは、よりコストがかかり、結果が不確かな場合がある。勧められるクリーニングの頻度は環境により変化する。ガイドラインは NiDI Technical Series No. 11014 , Guidelines for Maintenance and Cleaning に見出すことができる。

16 NiDI技術資料:詳細な内容は本文参照。   Top

 Copper - nickel Fabrication NiDI Co - operative Series No. 12014 , 28頁  the Copper Development #Association , the Copper Development Association Inc. , NiDIの共同出版

 90% Cu/10% Ni , 70% Cu/30%Niのキュプロニッケルの溶接、加工、耐食性、用途等について記述。

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